海外展開に挑戦するスタートアップにはいくつかの種類があります。まず海外展開の目的別に分けると、以下のパターンがあります。
海外マーケットに販路を拡大している企業
生産拠点を海外に展開している企業
また、展開方法についても以下の二つに分けることができます。
最初から海外マーケットで起業している企業
日本でサービスを開始し、後から海外展開した企業
本記事では、日本でサービスを開始し、販路拡大を目的として海外展開を取り組んでいるスタートアップ企業を紹介します。
前項で述べた販路拡大を目的としたスタートアップは、主にアメリカや中国といったより大きな市場へのアクセスを最大の理由としています。
例えば SaaS を例にとってみましょう。1社あたりの SaaS 利用数について、米国は日本の10倍程度と大きな開きがあります。
日本のマーケットは長期的に縮小していきます。さらに2022年末の円安も記憶に新しいでしょう。現在は134円(2023年2月時点)と落ち着いていますが、国力の低下が大きな課題として多くの人に認識されるきっかけになりました。
2012年に創業されたニュースアプリを提供する SmartNews は、現在アメリカの市場で事業展開をしています。2014年という非常に早いタイミングで米国進出を開始し、グローバルで5000万ダウンロード、利用者数は月間2000万人以上に達しました。アメリカではユーザー1人当たりの月間平均滞在時間が最も多いニュースアプリになりました。
SmartNews は国ごとにローカライズされた複数のアプリを展開するのではなく、単一のアプリを全世界で展開するという「グローバルワンプロダクト」という方針を取っています。
メルカリの創業時期、海外展開時期は SmartNews と近いです。メルカリはフリマアプリとして2013年に創業され、2014年にはアメリカ展開を開始しています。
メルカリは国内版のアプリとは別に、米国版のローカライズされたアプリを新たに構築し、メインカラーを含めたデザインやマーケティングメッセージ、UIUX を刷新しました。
製造業の受発注プラットフォーム「CADDi」を提供するキャディ株式会社は、2022年に初の海外展開としてベトナムに海外現地法人を設立しています。
2022年11月には2番目の海外法人をタイのバンコク市に設立、2023年にはアメリカ進出を発表しています。
ソフトウェアテスト自動化プラットフォームの Autify は米国アクセラレータ「Alchemist Accelerator」を卒業した2016年創業のスタートアップです。
創業当初から海外展開を視野に入れており、2021年からアメリカ市場で事業展開をしています。
海外展開を目指すスタートアップは年々増えており、2022年には JETRO が中期目標期間中に1,200件以上の海外展開を支援することを掲げています。
日本初で海外展開に成功するロールモデルが今後出てくるのではないかと予想されます。